中小企業やスモールビジネスにおけるレンタルサーバーや独自ドメインのおすすめ活用術をお伝えしているこのシリーズ。第3回目はネットで大容量のファイルをやり取りしたり、バックアップをとっておくことができる自分専用のストレージ活用法についてお話します。
メール添付では送れないファイルも
これまで、外部にファイルを送る場合、主にメールに添付して送付する、ということが一般的でした。Word(ワープロ)やExcel(表計算)といったオフィス系アプリのファイルならそれで用が済むのですが、最近では画像を多用したPowerPointのプレゼンファイルや、動画などファイルサイズが数10MBになるものもあり、メール(サーバー)の設定によっては、容量制限によってメールが届かないという事態もよく起こります。
また、デザイン系の会社ではIllustratorやInDesignなどで作ったデザインデータが数10~数百MBになるので、USBメモリやDVD-Rにコピーしたものをバイク便や宅配便で送らざるを得ない、という話もよく聞きます。もっと便利で、安い方法はないのでしょうか?
そもそも、インターネットの世界ではFTP(ファイル転送プロトコル)というファイルの送信方法があって、これを使えば数百MBのファイルも安定して送ることができます。
レンタルサーバーでもWebコンテンツのアップロードに使われたりしてお馴染みの方もいらっしゃるでしょう。
しかし、FTPを使うには、専用のアプリ(FTPクライアント)がないと使うことができず、特にITが得意ではない方にはハードルが高いため、あまりおすすめはできません。
最近ではDropBoxやOneDrive、iCloudといった商用のクラウド(オンライン)ストレージサービスと呼ばれるサービスが普及しつつあります。これらはサーバー上にファイルをおいて、保存や共有ができるサービスで、Webブラウザを使ってファイルをアップロード/ダウンロードできるサービスです。価格も一部は無料であったり、安いものが少なくありません。
ただし、これらのサービスも一つのファイルのサイズに制限がかかっているため、ある程度の大きさのファイルまでしかアップができないのが難点です。
そこでおすすめしたいのが、レンタルサーバーを利用して、自分専用のクラウドストレージサービスを使うことができるオープンソースのシステム「ownCloud」です。
OwnCloudは、レンタルサーバーにインストールすれば、一般のクラウドストレージサービスと同じように、Webブラウザを使ったファイルのアップロード/ダウンロードが可能です。また、共有も可能で、その際にパスワードをかけることができるので、重要な情報でも安全にやり取りすることができます。また、設定を変えることで、一本あたりのファイル容量の制限も自分で調整できるため、大容量ファイルのアップロード/ダウンロードも可能になります。
不測の事態に備えるために
もう一つownCloudを使うメリットは、不足の事態に備えることができるという点です。
火事や地震などでPCが破損してしまったら、大切なデータは戻ってきません。また、外付けのディスクにバックアップをしても、そのディスクも一緒に被災してしまっては、元も子もありません。
そこで、重要なデータのバックアップ先として、レンタルサーバーを活用します。レンタルサーバーが設置されているデータセンターは火災、地震などの災害に対しての対策がしっかりなされ、サーバーやディスクの監視もしっかり行われているため、大切なデータを預けるにはもってこいの場所です。
ownCloudには商用のクラウドストレージサービスと同じように、PCのディスクにあるファイルと、サーバーにあるファイルの同期を取るアプリがあります。これにより、ユーザーは意識しなくても、サーバーにファイルのバックアップを取ることができます。
レンタルサーバーを活用すればクラウドストレージを便利に使える
Z.comレンタルサーバーは大容量ながら安価な使用料が特徴です。ファイルの外部とのやり取りや、重要なデータだけバックアップするなら、最も安い10GBのZeroコース(月額360円)でも十分でしょう。ある程度しっかり使うなら、100GBまで使えるZetaコース(月額859円)。大容量化が進むPCのHDD(ハードディスク)をすべてバックアップしたい、という方なら容量無制限のZeusコース(月額1,798円)という選択肢もあります。ただし、SSDで高速とはいえ、あくまでインターネット経由の接続なので、重要なデータだけクラウドにバックアップするという考え方を持っておくことが重要です。
SSL(月額100円)を使うことでセキュリティ対策も万全。社内の重要なデータを盗み見られることも防げます。セキュリティ向上を考えている方にもおすすめです。
また、Z.comならownCloudのインストールも簡単。cPanelからワンクリックでインストールすることができます(事前にcPanel管理画面の「Select PHP version」にて、ZIPライブラリをPHPに追加する必要があります)。インストール後はWebブラウザで管理画面にアクセスでき、設定も簡単です。
レンタルサーバーは業務の効率化やデータの保護などにも活用できます。皆さんの会社でもぜひレンタルサーバーを活用して、事業に役立ててください。
●ownCloud
http://owncloud.jp/