いわゆるSMBと呼ばれる、中小企業やスモールビジネスにおけるレンタルサーバーや独自ドメインの活用術をお伝えしているこのシリーズ。第2回目は「自社のWebサイト構築編」です。
HTMLを知らなくても大丈夫!WordPressを代表とする「CMS」とは?
今や企業には欠かせない自社のWebサイト。
「欠かせないという割には簡単に作ることができないよ」、とおっしゃる方も少なくないでしょう。
初めて標準でインターネットが使えるOS「Windows95」が発売され、インターネット元年といわれた1995年ころは、Webページといえば、ちょっとした画像に文字だらけといった感じでしたが、あれから20年余りたった今日では、きれいに整ったレイアウトときれいな画像、そして動画までがWebページに組み込まれ、それこそ素人が自分で作るにはハードルが高い時代となっています。
そもそも、Webページを作るには「HTML」というWebページを記述する言語を覚える必要があり、そこで挫折、という方も少なくないでしょう。
以前はWebページエディタというアプリケーションソフトも数多く出ていましたが、今ではそれも風前の灯。スマホの普及でWebページを見るのは簡単になったのに、作るほうは難しくなるばかりです。
ところで、Webページエディタが減った原因の一つに、ブログの普及があげられます。
皆さんご存知のように、ブログはWebページから記事を入力するだけで、簡単にWebページをインターネットに公開することができます。
つまりHTMLを覚えなくてもWebページが作れるようになったからです。
なぜ、ブログではHTMLを知らなくてもページを作ることができるのでしょうか。
それはブログのシステムがあらかじめ設定された「テンプレート(テーマ)」(ひな形)を使って入力された記事をWebページとして出力できる仕組みがあるからです。
またブログには記事を管理する仕組みや、公開や非公開を設定する仕組みなど、いわゆるコンテンツを管理する仕組みが備わっています。
このようなシステムのことを「CMS(コンテンツマネジメントシステム)といいます。このCMSを使えば、HTMLを覚えなくてもWebページが作れるのです。その代表がWordPress(ワードプレス)です
多機能ながら無料で使えるCMS、WordPress
CMSにもいろいろあり、大企業の巨大Webサイトを管理するような大規模なものから、ブログや比較的小さな規模のWebサイトに適したCMSまで、さまざまな種類があります。
数あるCMSの中でも、いま一番のシェアを持つのが、この連載でもたびたび登場するWordPressです。WordPressはもともとオープンソースのブログのシステムとして開発され、バージョンを重ねることにCMSとしての機能を充実。今では大規模なサイトや企業の公式サイトでも使われるほどの存在になっています。興味のある方は「WordPress 企業サイト 事例」などで検索してみるとよいでしょう。
実際、CMSのシェアとしては全体の約6割近くを占め、世界中のWebサイトの約1/4で使われているという調査結果もあります(~ウェブ技術ランキング2016~を参照)
WordPressの最大の特徴は、「テンプレート(テーマ)」のカスタマイズのしやすさです。これにより世界中のデザイナーがさまざまなテンプレート(テーマ)を作成し、有償・無償を問わず大量に配布されていることです。
そして、そのテンプレート(テーマ)を入れ替えるだけで、記事は同じなのに、まるで別のサイトのような見栄えにすることも可能です。
前回も触れましたが、既存のテンプレート(テーマ)をうまく活用することで、さほど時間をかけずにWebサイトを作ることができるのです。
また、情報が潤沢にあるという点も大きなメリットでしょう。インターネット上はもちろんのこと、書籍などもたくさんあるため、例えば自分でカスタマイズしてみたい、というときにも困ることはありません。(ちなみにカスタマイズにはPHPという言語の知識がある程度必要です)。
「テンプレート(テーマ)」や「豊富な情報」をうまく活用し、短時間で作る。これがイマドキの自社サイト構築術です。
あの○○○○○○○○もCMSで!?
ところで、先ほどWordPressがCMSではトップシェアを誇るとお話ししましたが、ほかにもCMSは数多くあります。ここでは無料で使えるオープンソースCMSをいくつか簡単に紹介しましょう。
・Joomla(ジュームラ)/Drupal(ドルーパル)
これらは海外で比較的使われているCMSです。Joomlaは海外の公的機関のサイトで比較的使われており、Drupalは非営利団体用やオンラインショップなどのように用途別にパッケージ化されたものが配布されるという特徴をそれぞれ持っています。
ただし、日本語の情報が少なく、少しとっつきにくいというところが難点です。
・WikiMedia - 世界最大の辞書サイトWikiPediaを支えるCMS
最近はWikiといえばWikiPediaを指すくらいメジャーになった百科事典サイトWikiPedia。もともとWikiもCMSの一種で、まさにWikiPediaのように知の共有(ナレッジマネジメントとも呼ばれる)をWeb上でやりやすいように開発されたものです。
WikiMediaはWikiPediaを構築するために作られたWikiシステムで、知識集積サイトでは比較的よくつかわれる存在です。
ただし、WikiPedia並みの大規模なサイトを構築するため、導入して使うにはそれなりの知識が必要です。
・Concrete5(コンクリートファイブ)
Concrete5はこれまで紹介してきたテーマ型のCMSとは異なり、Web上でページのデザインが行えるWebページエディタ内蔵型CMSです。
テーマ型とはことなり、比較的自由なデザインを行うことができ、オリジナリティの高いページを作ることも可能です。日本語の情報も充実しているので、自分でWebページをデザインしたいという方ならチャレンジしてみてもよいかもしれません。
Z.comではいずれのCMSもcPanelから簡単にインストールすることができます。また、Concrete5以外は管理画面から1クリックでインストール可能です。
WordPressはもちろんのこと、別のCMSも試してみて、使いやすいものを選ぶとよいでしょう。
● 本記事に紹介されたアプリのダウンロード先
● Concrete5
※Concrete5を利用するにはPHPの設定を変える必要があります。