サイト移転完了!いかに作業を進めたか(2)(前編)

2017年05月16日Z LOG, 井上研一先生コラム

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前回の記事ではステージング環境のバックアップを振り返りながら、Z.comのWordPressサーバーへのサイト移転の様子を途中までお伝えしました。でも、バックアップ履歴の下から2つしかまだ進んでいない・・・。

今回は、残り全部行きたいと思います!

 

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こちらは前回の記事にも掲載した、サイト移転のイメージです。ただの移転ではなく2つのWordPressサイトを統合して新しいサイトを作るというものなので、なかなか大変です。

旧会社サイトにはpage(固定ページ)とnews(最新情報)があり、旧個人ブログにはpost(ブログ)とpage(固定ページ)があるのでした。新サイトには、これらの記事をすべて統合します。

 

前回の記事では、個人ブログにあったすべての記事(post/page)と画像などのメディアファイルのインポートまでを行いました。あとは会社サイト側にある固定ページと最新情報をインポートすれば良いことになります。最新情報(news)はWordPressのカスタム投稿タイプです。

WordPressをWebサイト構築のために使いこなしている方であれば、カスタム投稿タイプを使ったことがある方も多いでしょう。しかし、一般的なブログとしてだけ使っている方であれば馴染みのない機能かもしれません。そこで、カスタム投稿タイプについて、少し説明しておきましょう。

 

カスタム投稿タイプとは

WordPressはもともとブログを作るためにできたソフトウェアです。いや、今だってそうじゃないか・・・と思われるかもしれませんね。
たしかに、それはそうでもあるのですが、最近(といってもここ数年ですが)は一般的なWebサイトを作るためにも使われるようになっています。

ここでブログと一般的なWebサイトの違いについて考えてみましょう。ブログはある意味で日記のようなもので、記事(投稿)が時系列に表示されます。より新しい記事が上、古い記事が下というように。日記なので、日が経つにつれて記事は積み上がっていきます。

 

一般的なWebサイトはどうでしょうか。
例えば会社サイトでいえば、社長挨拶のページがあって、資本金や取引先などの会社概要ページ、アクセスマップ、会社の事業を紹介するページといったものがトップページから階層構造でリンクされています。

基本的には時系列というわけではなく、新しい情報があればもともとのページと横並びでページが追加されるか、同じページに追記されます。場合によっては元のページを上書きすることもあるでしょう。WordPressではそのようなページを作るために「固定ページ」という機能があります、ブログでも日記のような記事のほかに自己紹介ページなどが必要ですから、その場合は固定ページを使いますね。

これまで投稿や固定ページという言葉を安易に使ってきましたが、整理しておくとWordPressでは前者の時系列のコンテンツを「投稿(post)」、時系列でないコンテンツを「固定ページ(page)」といいます。また、こうしたコンテンツの種類のことを「投稿タイプ」といいます。

 

ところで、時系列で扱いたい記事が2種類以上あったら、どうすれば良いでしょう。例えば、会社サイトに最新情報があって、それとは別にブログも欲しい。まさに今回の新サイトのような構成ですが、それってよくあることですよね。WordPressでは2つの方法があります。

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1つは投稿のカテゴリーとして、分ける方法です。投稿のカテゴリーとして「ブログ」と「最新情報」のように分けて、ブログのカテゴリー(「旅行」とか「音楽」とか・・・)は、「ブログ」というカテゴリーの子カテゴリーにするという感じです。

それでも良いのですが、ブログと最新情報でデザインを変えたいときにテーマが煩雑になったり、カテゴリー以外にタグで記事を分類したいときにタグがブログと最新情報で共用になったりという問題があります。

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もう1つ、時系列での記事の種類をもう1つ作るという方法があります。WordPressではカスタム投稿タイプという機能を使うと、それが実現できるのです。カスタム投稿タイプはいくつでも作ることができます。テーマの作り方も比較的簡単になりますし、カスタム投稿タイプごとにカテゴリーやタグの管理をすることができます。

そこで、今回も最新情報(news)というカスタム投稿タイプを作りたいと思います。カスタム投稿タイプを作るためには、プラグインを活用する方法もありますが、今回はテーマの中に簡単なプログラムを書くことにします。使用しているテーマのディレクトリにfunctions.phpファイルを作成し、下記のようなコードを書きました。

 

<?php
/*-------------------------------------------*/
/* カスタム投稿タイプ「最新情報」を追加
/*-------------------------------------------*/
add_action( 'init', 'add_post_type_event', 0 );
function add_post_type_event() {
  register_post_type( 'news', /* カスタム投稿タイプのスラッグ */
    array(
      'labels' => array(
        'name' => '最新情報',
        'singular_name' => '最新情報'
      ),
    'public' => true,
    'menu_position' =>5,
    'has_archive' => true,
    'supports' => array('title','editor','excerpt','thumbnail','author'),
    'rewrite' => array('slug' => 'news', 'with_front' => false)
    )
  );
}

 

カスタム投稿タイプを追加すると、あとは基本的には投稿と同じような操作(記事やカテゴリー、タグの追加など)ができます。

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このように、「投稿」というブログ用の投稿タイプの下に「最新情報」のメニューが表示され、投稿と同様の画面が表示されます。
そこまでを確認した時点で、Z.comの管理画面から一度バックアップ!

 

今回は、旧会社サイトからエクスポートした最新情報の記事を新サイトにインポートしました。さらに、バックアップ!
こうした、ミスしやすい作業が終わる度、またはミスしやすい作業を始める前にバックアップを取っておくことで、心置きなく作業を進めていくことができますね。

サイト移転完了!いかに作業を進めたか(2)(後編)はこちら

 

inoue井上研一(いのうえ けんいち)

東京都中野区に住むITコーディネータ、ITエンジニア。
1979年福岡県北九州市生まれ。

1996年頃よりWebサイトの構築、アプリ開発を開始し、多くの雑誌が掲載。国内中堅SI会社やコンサルティング会社等を経て、2013年にアルティザンエッジ合同会社を立ち上げ代表社員・CEOに就任。 技術そのものよりも、技術が社会にもたらす影響に興味を持ち、ITとビジネスが交わるところで活動中。クライアント企業のプロジェクトに参画するほか、イベント登壇や執筆活動にも積極的に取り組み、ブログにもいろいろ書き連ねています。
2013年より超初心者専門ITスクール「TECH GARDEN SCHOOL」で講師を務めるほか、最近はこどもたちにプログラミングを教える活動も始めました。 2016年10月に書籍「初めてのWatson APIの用例と実践プログラミング」をリックテレコムより刊行!

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