コンバージョン率の向上(前編)

2017年10月24日Z LOG, 井上研一先生コラム

前回はAll in One SEOプラグインを中心として、WordPressサイトのSEO対策については説明しました。まず、訪問者(ユーザー)にとって価値のあるコンテンツをつくることが先決ですが、それを世の中に広めて、多くの読者を得るためには、SEO対策が必要なのでした。

 

自分のサイトのことを知らない人の多くは、GoogleやBingなどの検索エンジンで検索を行い、サイトを見つけ、訪問者になってくれます。検索エンジンから多くの訪問者を得るためには、できるだけ自分のサイトを検索結果の目立つ位置に出るようにしたいというわけです。もちろん、GoogleのAdSense広告などを出稿すれば、お金の力で目立つ位置を得ることはできます。SEO対策は広告出稿とは違う方法で同じ効果を得ることが期待できます。

 

●コンバージョンとは何か

では、訪問者が増えればそれで満足といえるでしょうか。自分のサイトを見てくれる人が少ないよりは、多い方が良い。それは間違いないでしょう。しかし、「見る」と言っても本当に見るだけで、検索エンジンの上位に表示されたからいちおう見てくれたけれども、コンテンツが訪問者の望むものでなければ、きちんとコンテンツを読まず、すぐに去って行くでしょう(そして検索エンジンに戻り、他のサイトを見てみるわけです)。

 

さらに、サイトがショッピングサイトやリアル店舗、会社といったビジネス用途の場合は、それに応じた結果を求める必要があります。つまり、商品の用途や利点などのコンテンツをきちんと読んでくれた上で、購入に至った。会社が提供するサービスなどのコンテンツを見て、問い合わせをしてくれた。そういった、具体的な成果が欲しいから、サイトを運営しているとも言えるわけです。

こうした具体的な成果のことをコンバージョンと言います。

 

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ここで、サイトを訪れた訪問者全員が、購入や問い合わせに至るでしょうか。そうであれば嬉しいのですが、まずそんなことはありません。訪問から購入や問い合わせに至るまでの間に多くの訪問者はサイトから去って行きます(離脱)。そして、残る数人が購入者などになります。コンバージョン(Conversion)には「変換」という意味があり、訪問者から購入者に変換してくれるので、コンバージョンというわけです。この、購入者などコンバージョンに至った人数を、訪問者で割るとコンバージョン率を求めることができます。例えば、1,000人の訪問者がいて、うち10人が購入などに至った場合、コンバージョン率は1%ということになります。

 

●KGIとKPI

KGIやKPIという言葉をご存知でしょうか。KGIはKey Goal Indicatorの略で、日本語では重要目標達成指標とか戦略目標指標などと訳されます。例えば、ショッピングサイトでは売上高などがKGIに相当します。一方、KPIはKey Performance Indicatorの略で業績達成指標などと訳すことができます。KPIは1つのKGIに対していくつか設定されるもので、KGIを達成するための小目標のようなものと言うことができます。

 

例えば、売上高をKGIとして設定した場合、KPIとして何が設定されうるでしょうか。売上高は購入者数(できるだけ多くの人に買ってもらう)×平均購入価格(一度に多くの金額を使ってもらう)で求めることができるので、これらをKPIとすることができるでしょう。さらに、購入者数を増やすためには、訪問者数を増やすこと、コンバージョン率を上げることが必要なので、これもKPIとすることができるわけです。(このように、購入者数というKPIの下に訪問者数とコンバージョン率というKPIを置くといった具合にKPIは階層化することができます。これをKPIツリーといいます。)

 

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KGIやKPIは、できるだけ定量的に計測可能な項目を抽出する必要があります。上で挙げた売上高、購入者数、平均購入単価、訪問者数、コンバージョン率といった値はすべて定量的(数値として表現できる)な項目です。コンバージョン率は購入者数と訪問者数が分かれば計算できますし、平均購入単価も売上高と購入者数が分かれば大丈夫です。

つまり、売上高、購入者数、訪問者数の3つの値をきちんと捕捉できていれば良いということになります。売上高と購入者数はショッピングサイトなら当然分かるでしょうから、あとは訪問者数をGoogle Analyticsなどのツールを使って取得できれば良いということになります。

 

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Google Analyticsなどのアクセス解析ツールを使えば、訪問者数だけではなく、直帰率やセッション継続時間といった値も取得することができますから、これもKPIとして設定することも可能です。

 

このように、KPIになり得る項目はいろいろと考えられるのですが、すべてをKPIとする必要はありません。あまりに項目が多すぎると管理しきれなくなり、KPIを設定する意味が失われます。自分のサイトにマッチした項目をいくつか選定すれば良いのです。

 

後編はランディングページやCTA(Call To Action)などについて詳しく話していきます。

inoue井上研一(いのうえ けんいち)

東京都中野区に住むITコーディネータ、ITエンジニア。
1979年福岡県北九州市生まれ。

1996年頃よりWebサイトの構築、アプリ開発を開始し、多くの雑誌が掲載。国内中堅SI会社やコンサルティング会社等を経て、2013年にアルティザンエッジ合同会社を立ち上げ代表社員・CEOに就任。 技術そのものよりも、技術が社会にもたらす影響に興味を持ち、ITとビジネスが交わるところで活動中。クライアント企業のプロジェクトに参画するほか、イベント登壇や執筆活動にも積極的に取り組み、ブログにもいろいろ書き連ねています。
2013年より超初心者専門ITスクール「TECH GARDEN SCHOOL」で講師を務めるほか、最近はこどもたちにプログラミングを教える活動も始めました。 2016年10月に書籍「初めてのWatson APIの用例と実践プログラミング」をリックテレコムより刊行!

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